言葉では伝えきれない全ての想いを込めて…
ダイヤモンドを研磨することは不可能、と言われていた時代がありました。
人を好きになっても、叶えられない「愛」の方が多いですよね。まさに、ふたりの愛が同意に至り、婚姻の契りを交わすことができたなら、それは、「奇跡」といえるはずです。
婚姻の契りの証として、ダイヤモンドの指輪を相手に贈る風習には、もう500年以上の歴史があります。それはダイヤモンドに関わる「愛の奇跡の物語」によって、その歴史が始まったことを、皆さんはご存知でしょうか?
ダイヤモンドは奇跡を乗り越えた“愛”の象徴
1456年、オランダにベルケムという、ひとりの宝石職人がいました。
彼はとても腕の良い職人でしたが、とても貧しく、足に障害を持つ青年でした。
そんな彼がある日、恋をしました。その恋をした相手はよりにもよって、自分が働く工房主のお嬢様。
彼は、自分の身分を考えると、とても言い出せるはずもなく、ただひたすら想いをつのらせるばかりの日々を過ごしていました。
しかし、彼の”愛”は本物でした。勇気を持って、気持ちを伝えることにしたのです。
彼は思い切って、雇い主である彼女のお父様に「彼女を妻に・・・」と、願い出ました。
彼女の父は、そんな彼の純粋な気持ちに、心を動かされるのですが、貧しい彼のもとに、愛する娘を嫁がせることには、とても不安でした。
とはいえ、自分のビジネスパートナーであり、腕の良い職人である彼の誠実さを思うと、門前払いすることもできなかったのです。
そして、父は彼の想いを上手に断ち切らせるために、あることを条件に出しました。
“もしもダイヤモンドを磨くことができたら…”
当時では、無理難題と思える条件を持ちかけたのです。
「ダイアモンドさえ磨けたら、愛しい彼女と一緒に暮らせる…」彼はその日から、一生懸命考えました。
「ダイアモンドを磨く方法…」ではなく、あくまでも「彼女と一緒になれる方法を…」です。
彼の気持ちは本物でした。
でも、彼女自身(工房主のお嬢様)はもちろん彼に興味もなく、もしダイヤを磨けたとしても結婚は叶わない夢でした。
しかし、毎日、毎日、毎日。「ダイヤを磨く方法」を必死で考える彼の姿をみて、彼女自身の気持ちにも変化が。
そして、ついに彼は見つけました。「彼女と一緒になれる方法を…ダイヤを磨く方法を…」。
“地上で最も硬い鉱物は、やはり一番硬い鉱物で磨けばいい”=“ダイヤはダイヤで磨けばいい”。
彼の愛の力が、ダイアモンドをダイアモンドの粉で磨くことを、思いつかせたのです。
その後、彼の恋が実ったことはいうまでもなく、さらに、彼は一流の宝石職人となり、“フロレンタイン”や、”サンシー”という、有名なダイアモンドさえも研磨しました。
ベルケムが確立した研磨技術が普及した後、ダイヤモンドつきの婚約指輪が王家の習慣となり、19世紀には、一般の人々にもダイヤモンドの婚約指輪が普及しました。
ダイヤモンドはその硬質さから、固い絆と永遠の愛情、また無色透明なので、純粋無垢な心の象徴といわれています。
愛する彼女のために”奇跡”を引き起こした、ベルケムの一途さそのままの物語なのです。
ダイヤモンドの婚約指輪が、なぜ尊いのか。もう、解説はいらないですよね。
どんな問題をも乗り越えて、彼の献身的な努力で彼女の愛を勝ち得たダイヤモンド。
研磨の歴史が、現代においても、純粋な愛を示す象徴といえるからなのです。
ダイヤモンドの石言葉『永遠・純粋・無垢』